
韓国人のルームメートと一緒に家ご飯を食べる時、最初おどろいたのが、毎回の食事で必ずスプーンを使うことでした。スープやお箸では取りにくいものがない時でも必ずスプーンを使います。
私は全然スプーンの必要性が分からずに、
「どのタイミングでスプーンを使うの?」
と聞いてみました。すると、
「ご飯を食べるとき」
との返事。観察していると確かに、お茶碗からご飯をすくう時に使う頻度が高いようです。
もちろん私たちと同じようにお箸を使うこともあるのですが、まめに持ち替えては両方使って食事をするんです。
それに、大皿からとって食べる場合、日本人のように一箸ずつお茶碗にとるよりも、スプーンで多めにお茶碗にとってから食べることも多いです。
どうやらこの習慣は、韓国の食事のマナーと大きな関係があるようです。日本ではお茶碗やお皿を手で持ち上げて食べるのが正しいマナーです。私も子供のころお茶碗を持たずに食べていると母から、
「左手は何してるの?行儀が悪い。」
と叱られたものです。
でも、韓国では全く反対。食器を持ち上げると、ガッツイテいるように見えマナー違反です。そのため、普通食器はテーブルの上に置いたままなのですが、それだとお箸ではきれいに食べられません。それでスプーンですくって食べる、という便利な方法が習慣となっているようです。
それに、スプーンを使うがゆえの美味しい食べ方もあるんです。「スプーン小丼ぶり」と、勝手に名付けてみました。韓国の友人たちがみんなやる方法です。
まずスプーンに半分ぐらいご飯をとり、そこにキムチや小魚、漬物や炒め物など何種類かのおかずを一緒にのせ、一口で食べる。単純なんですがやってみると結構おいしく小さなのっけ丼のようです。
でも、私はそれまで左手でスプーンを使ったことがなかったので、慣れるまでぎこちなかったです。しかも韓国のスプーンは長くて重いので結構疲れます。脳の運動になっていれば良いのですが。
韓国料理にもいろいろなスープがあり、日本の味によく似たものもあります。そうしたスープを飲むときにも、基本お碗は持ち上げませんし、日本人のようにお碗に直接口をつけて飲むなんてことは絶対にしません。スプーンで一口ずつ飲むんです。生活の他の面ではいろいろワイルドな韓国人ですが、スープの飲み方はおしとやか。
同じアジア人で、似通った点がある一方でそれぞれの違いもしっかりとあり、知れば知るほど興味が出てくる韓国の食文化です。